フルーツハンターの備忘録(上)

忘れそうなので大事なところだけメモ。

果物の世界に果てしないロマンを抱く人がいます。フルーツハンターという人々です。果肉が白いマンゴー、果汁たっぷりのアイスクリームビーン、味覚を変化させるミラクルフルーツなど世界各地を巡って探します。一度手にした果物が二度と手に入らないことも。

(わくわく!)

The Fruit Hunters: Evolution of Desire (上)


2013年 Eye Steel Film / NFB / NHK 共同制作

強烈な味のドリアン、すっぱくて甘いランサット、リュウガン、ライチ、マンゴーなどトロピカルフルーツはほかのどんな食べ物より変化に富んでいます。

「果物は人を幸せにしてくれるもの。人間と根源的なつながりのあるものです。」

(そのとおり!(^^)!)

「もうふつうの人生には戻れません。」

「人生のすべてを捧げたといってもいいでしょう。」

(お仕事になるならいいね!)

果物は動物に食べられたいから色や形、におい、味で人を引き付けるのです。果物と人間は相思相愛の関係です(白人らしい物言いですねw)。果物は人類に緑と赤を区別できるようになった進化をもたらしたといわれています。

果物を人間が栽培するようになり、果物の多様性が失われ長距離輸送と保存性が高まったものばかりになってしまいました。果物はありふれたものとなり個性を失いました・・・。

珍しい果物が集まる国際的な品評会があります。バニラアイスクリームの味がするドリアンにハワイ産のエクセルという品種改良されたマンゴー・・・。

(行ってみたい!)

リチャード・キャンベルとノリース・レデズマはアメリカフロリダ在住の園芸研究者でプロのフルーツハンターです。リチャードとノリースは珍しい果物や絶滅寸前の果物の品種を確保して保護しています。リチャードとノリースはボルネオ島の市場で果物を探し、そこからジャングルへ地元の人と一緒にフルーツハンティングに行くそうです。リチャードとノリースは果物ではなく健康な枝を持ち帰り品種保護用の農園フェアチャイルド熱帯植物園FTBG THE FAIR CHILD FARM Home of the Tropical Fruit Collection of Fairchild Tropical Botanic Garden)の温室で育てるそうです。一千種を超えるフルーツが保護されているそうです。デビット・フェアチャイルドが創立してアメリカ農務省に勤めていた伝説的なフルーツハンターで1900前後に世界中を旅して何百もの新種をアメリカに持ち帰りました。その中のひとつがカメルーンから持ち帰ったミラクルフルーツです。マンゴーやネクタリン、サクランボを広めたのもフェアチャイルドでした。リチャードとノリースはこのフェアチャイルド熱帯植物園の学芸員です。

(行ってみたい!でもほんとうに保護するつもりでいるなら氷期を想定して赤道付近でやらなくちゃ!?突っ込みすぎかしらw)


「果物も一度失われたら二度と取り戻せません。プーラヴィーダはアボカドの一種ですが、モナリザと同じなんです。守っていきたいです。」

ノリースはマンゴーの研究がライフワーク。マンゴーの品種は六百以上あるけど絶滅しつつあるので次の時代では味わえないかもしれないと言いました。

リチャードとノリースは貴重なマンゴー「ワニー、食用としてすぐれた種」を探すためにバリ島にやって来ました。そして地元の人たちと一緒に収穫期の祈りをささげました。

ハワイ トロピカルフルーツ生産協会のケン・ラヴはアイスクリームビーンが子供の頃食べさせてもらった綿菓子のようだと言いました。
カリフォルニアの郵便配達人ルドルフ・ハースが自宅の庭に植えたアボカドは今や世界中に広まっています。アルジェリアの修道院でクレメント・ロディエ神父が育てた柑橘類はやがてクレメンタインというポピュラーな果物になりました。アメリカの中国系移民アー・ビングは甘く風味豊かなチェリーを栽培しました。移民法の改正でビングはアメリカに住めなくなりましたが彼が残したビングチェリーは今ではとりわけ人気のある品種となっています。このような人々の物語も一つの品種が失われたら終わりを迎えます。生物の多様性が失われれば人類の一部が失われることに等しいのです。イタリアのウンブリア州の肥沃な丘陵地帯ではイザベラ・ダラ・ラジヨーネ(アルボレーア考古学研究財団)は失われた果物の品種を探しています。ひとつの品種を復活させることは地域の歴史を保存にもつながると彼女は信じています。イザベラは父がそのように考えていて1950年代から60年代に果物を収集し、父から果樹園を引き継ぎました。イザベラが保護したフルーツは古い文学や美術に登場したものもあり地域の歴史をさかのぼることにも繋がります。メディチ家やブファリーニ家のようなルネサンス時代の支配者は自分たちの農園を描いた絵画を制作させました。イザベラはこうした果物の品種を特定し探し出そうとしています。数百年たった今でも残っている品種があるのです。

(イザベラさんすごい!)

ブファリーニ宮殿で見たイチジクはほかには見られないイチジクでした。」
イザベラは地元の人に話を聞いて手がかりを探します。修道院に行けば今も品種が残ってるかもしれないとイザベラは言いました。
「大切なのは木を見つけ出すことです。そして果物と人々の関係を調べるのです。」
イザベラは修道院でイチジクを調べ果実を集めました。
「これらの果実は記憶と魂の再発見なのです。」

世界には果物の多様性が保たれ人々の生活の一部となっているものがあります。

リチャードとノリースはガイドを連れてバリ島の市場でワニーを探しました。
「ワニーの硬さはナシぐらい。甘味と酸味を兼ね備えてねっとりとしてさまざまな風味を持っています。」
地元の人はワニーを栽培していて樹齢を重ねるほど味わいがよくなると言いました。若くて皮がきれいなものより古くて皺があるもののほうがおいしいのです。
「女性には言わないでね。」
ノリースは言いました。リチャードとノリースは20年くらいワニーの接ぎ木に失敗していました。そこで直接接ぎ木をするのではなく中間にもうひとつ別の木を入れることを思いつきました。その木を突き止めるのに20年かかったとリチャードは言いました。

「近所から変な目で見られそうか心配ですよ。」
あるフルーツハンターの夫婦は言いました。

(あるあるw)

バリ島には木に触る前に祈りを捧げる伝統があるそうです。半袖半ズボンでワニーの木にのぼるリチャード。ワニーは森林伐採の影響で絶滅する危険があるのです。

接ぎ木しづらい植物の場合、枝はできるだけ高いところから採るといいんだ。

リチャードとノリースはサンプルを採取して次に来たときには果物がなくなって(絶滅して)いる経験を何度もしていました。地元の人たちにとっては木を切って売ったほうが利益になるからでした。

採取した木はフィルムで保護しても数日しかもちません。バリ島には島原産の果物が多く生息していました。ハワイは人為的に作られた果物の楽園で、世界中からやってきた移民や開拓者が持ち込んだ果物でした。

ケン・ラブは25年前にはじめてハワイを訪れ報道カメラマンの仕事をやめてハワイに移住してきました。しかしケンは住民のほとんどがアメリカ本土から送られた果物をスーパーで買っているという矛盾に突き当たりました。そこでケンはハワイで生産されている果物の良さを知らせる活動をはじめました。ケンと友人で映画俳優のビル・プルマン(あなたが寝ている間に・・・、めぐり逢えたら、インディペンデンスデイなどに出演)はよくフルーツハンティングに出かけるそうです。ケンは道なき道を車で植物を押し倒しながら突き進みます。
「見つけたよ。ケン。」
ビル・プルマンは果物をケンに渡しました。
「酸っぱいな。」
「でも加工に適してるよ。」

(笑)

ケンは友人に言いました。
「これは綿菓子みたいなバニラビーンだな。」
レンブはマレーシアでは出産直後に食べさせる果物なんだ。」
「ハワイには三つの重要な果物があるんだ。ブレッドフルーツピーナッツバターフルーツブラックベリージャムフルーツだ。」
「さあ。次はこれを食べてみて。(プディングみたいだ。)」
ケン・ラヴはハワイのレストランが地元の農家から直接果物を仕入れる仕組みを何年も前から作ってきました。
「買い物をしていたらシェフ!と声をかけられて彼の車まで連れていかれたんです。トランクを開けると見たこともない果物が並んでいました。問題はハワイで何トンもの果物がとれるのになぜカリフォルニアからの輸入を続けているのかということです。もっと地産地消を推し進めるべきです。そのほうがフレッシュで風味もいいし、そのほうが環境にも優しいし地元の経済にとってもいいことです。」
ハワイのシェフは言いました。

フルーツハンターにとって果物はおいしい食べ物とうい以上の意味を持っています。

「三年前に接ぎ木をしたルクマの木が今では花を咲かせました。」
女性のフルーツハンターは言いました。

植物の輸出入には厳しい規制があり虫や病気が見つかったらすべてリチャードとノリースの努力は水の泡になります。

「接ぎ木は清らかな気持ちでやらないといい結果になりません。」
リチャードは言いました。

種の保存は人類だけに可能な行為です。

フェアチャイルド熱帯植物園でマンゴーオークションが開催されました。世界中からフルーツハンターが集まり珍しいマンゴーを落札しようとしています。すべての収益は植物園の活動に充てられます。

「果物の多様性を保護すること。それが私たちの仕事です。」
リチャードは言いました。

「果物のまわりには宇宙のような世界が広がっています。それは果物だけで生まれるものではなく人間との関係で生まれるものです。」
イザベラは言いました。

「人生の特別な瞬間を思い起こさせます。それが果物の魅力のひとつで私たちがここまで熱をあげる理由のひとつです。」
ケン・ラブは言いました。

私たちは生まれながらのフルーツハンターです。(前編おわり)

(西洋のイメージ操作ってすごいね。保護とか○○のためという言葉があるだけで本質を隠したままなんでも善に見えちゃうw)

肝心のフルーツハンター(下)ですが、一週間先までの番組表を見ても出てこなかったのであきらめました!

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