2013年よりブルーベリーを初めて2024年で11年目になりました。これまで育てた品種は23品種でした。思い返せばかなりの種類を育てていたようです。そのうち現在でも生きているのは11種類です。およそ50%の確率でブルーベリーの苗木は枯れてしまいました。無農薬栽培なので当然の結果だと思います。
ブルーベリーの無農薬栽培は可能か?
この枯死率は、あくまでモスグリーンのスリット鉢での生育結果ですが、決して低いとは言い難いと思います。地面に植え付けての栽培のほうが根張りが良いので枯れにくいと思います。もしも農業としてブルーベリー栽培をするなら無農薬では困難なように思います。ブルーベリーの苗木が枯れる原因
少なくとも私の栽培経験ではブルーベリーの苗木が枯れる主な原因はカミキリムシの幼虫による幹の食害とコガネムシの幼虫による根の食害によるものでした。幹の病気は確かにありますが、細菌による枯れは枝単位で枯れるので株ごと枯れることはありませんでした。
ブルーベリーは農薬を使ったほうがよい
これらの幼虫に対する殺虫剤は土中に散布する(混ぜる)タイプのもの、例えばオルトランのような農薬が必要だと思います。イラガのように葉を食害する幼虫に対する殺虫剤はスミチオンやマラソンなどの一般家庭用の農薬で対応が容易かと思います。
また、果実の中に産卵するミバエという虫も発生したり、目に見えないような小さな虫もいることからブルーベリーは決して清潔な食べ物ではないと思います(私は生ではほとんど食べません)。
ブルーベリーは地植えにしたほうがよい
もうここで結論が出てしまいましたが、ブルーベリーを長期にわたり枯死させずに栽培を続けるためには地植えにするか、地植えに相当する容量の植木鉢が必要だと思います。長期というのがどれくらいかというと、5年~20年くらいのことを想定しています。
ちょっと趣味で栽培するなら植木鉢のほうが管理がしやすいと思います。
ブルーベリー栽培で得られたもの
10年以上ブルーベリーを育てて来てどんなメリットがあったのか?健康になったのか?というみなさんの期待と疑問があると思います。ブルーベリーを無農薬で育てて健康になったり目が良くなったということはありません。何らかの病気が治るということもありません。老化を遅らせるとか、美肌というような効果も実感はしていません。
それで何が身に付いたかというと、一般的な人が努力するような継続力、忍耐、植物の栽培に必要な知識といった平凡なスキルが身に付きましたが、それらはブルーベリーの栽培を通じて得たというよりは日常生活全般を通じて得られたものでもあるので、特にこれを育てればこんないいことがあるといった迷信じみた、宣伝どおりの効果はありません。
ブルーベリー栽培において何が大切なのか?(プロ向け)
家庭栽培としては特に具体的なメリットのないブルーベリー栽培ですが、唯一あるとすればジャムを手作りできるという体験があります。手作りジャムが1瓶250g程度で500円だとすると、それが何個も作れるようになるので食料品を自給できるメリットがあります。
ブルーベリーはアントシアニンやポリフェノールも多いので他の植物では得にくい栄養素を得ることが栽培を通じて可能になりました。
しかしそれらがどう健康や長寿に関わっているのかはわかりません。長寿の人が必ずしもそれらの抗酸化物質を摂取していることはないのでこれらの物質が健康寿命の延長に欠かせないとは思えません。
むしろ糖分の取り過ぎが懸念されるのでジャムも決して健康的な食品であるとは言えないと思います。
ブルーベリーを育てるにあたり重要なことは何もないと私は思います。すぐに金銭的な結果を求めたり高い期待を持ったりせずに育てる過程を楽しむことが一番大切なことなのではないかと思います。
ブルーベリー農業の可能性
というのも10年~15年前(2008年~2014年)は確かに日本でブルーベリーブームが起きていました。ブルーベリー農園がいくつも開園してビジネスを指導するセミナーで儲けている人(いわゆる情報商材屋)が脱サラしたいサラリーマンから利益を得ていた時期でもありました。
しかし2024年現在、かつて開園したブルーベリー農園は荒れ地となっているところもいくつか見られます。その農園の横を通りがかると雑草の中にたくましく生きているラビットアイの地植えの木が見られます。
要するに、ブルーベリーの木(おそらくラビットアイ系)は(植え付け時に土壌改良さえしておけば)何もしなくても枯れないということでもあります。
この強健さを生かすのであれば地面にたくさんピートモスを入れて露地栽培をすることが最もパフォーマンスが良いのではないかと思います(が土地を復元するときに困ると思います)。
果樹はいったん植えると継続するしか道が無いので単一の果樹の栽培はリスクが大きすぎると私は思います。それならイチゴ栽培を併用したほうがやめていく農家と新規参入の農家のバランスが取れているかもしれないので安全かもしれません。
夏はブルーベリー、冬春はイチゴという組み合わせも良いでしょう。ただし、やはりブルーベリーブームは終了したので、こうした農園経営をするとなれば都市部(県庁所在地や大都市)近郊が良いと思います。